リニューアボー 自然エネルギー政策研究所 Institute for Renewable Energy Policies

2013年1月の記事

主な地熱発電の方式

自然エネルギーへの期待が高まる中、世界3位の地熱エネルギー保有国と言われる日本でも、地熱発電への注目が集まりはじめています。しかし、地熱発電がどういうものであるかについては、あまり知られていないようにも思います。そこで、これから数回に分けて、地熱発電の歴史や仕組み、今後の可能性について触れてみたいと思います。

ドライスチーム式発電

現 在世界の事業用地熱発電は、主に3つの方式で運用されています。世界初の地熱発電所は、1904年にイタリアのラルデレロ地熱地帯で誕生しました。これは ドライスチーム式(Dry steam power plants)と呼ばれ、地面の割れ目や地下から採取した天然の水蒸気で直接タービンを回す方式です。ドライスチーム式では150度以上の蒸気が必要とさ れています。日本では、1949年(昭和24年)から九州配電(現在の九州電力)が地熱発電の商用化をめざした研究が開始されましたが、日本の井戸から出 るのは多くが蒸気と熱水の混合体であったために、ドライスチーム方式が使えず実用化が遅れたと言われています。日本で最初に(1966年)運転を開始した 岩手県の松川地熱発電所はドライスチーム方式です。日本でこの方式を採用しているのは、他に八丈島の地熱発電所があります。

フラッシュ式発電

現 在、世界で最も多く運用されている地熱発電は、フラッシュ式(Flash steam power plants)と呼ばれる、熱水と蒸気を分離する発電方式です。この方式は、1958年にニュージョーランドのワイラケイ地熱発電所で初めて実用化されま した。日本でも1967年に九州電力大岳発電所が1万2500kWで営業運転を開始しました。その後日本で導入された商用地熱発電設備のほとんどがこの方 式です。フラッシュ式では摂氏180度以上が適温とされています。環境省の平成23年度の調査(※1)によれば、採算性を加味した(買い取り価格20円、 買取期間20年)を日本の地熱発電の潜在力は、フラッシュ式発電で530万kW程であるとされています。これは現在導入されている地熱発電の凡そ10倍に 相当します。

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バイナリー発電
バイナリー発電(Binary cycle power plants)は、最も最近開発されたもので、蒸気の変わりに沸点の低いガス(ブタンや代替フロン)などを媒体に用いてタービンを回す方式です。57度以 上の熱水で発電が可能で、発電施設が比較的小型なため、運用出来る場所は広範囲に及びますが、現在のところ導入コストが高い(※2)ため十分には普及して いません。事業用としては国内唯一である八丁原発電所のバイナリー発電はイスラエル製のもので、国産によるより安価な技術の開発が待たれるところです。 (霧島国際ホテルにも220kWの実験施設があります。)

※1「平成23年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報整備報告書」 環境省地球環境局地球温暖化対策課

※2(※1)の報告によれば、バイナリー発電は買取価格40円未満では事業採算性の面から具現化は難しく、50円でも導入は4万kWの導入に留まるとされる。


参考資料:wikipedia http://en.wikipedia.org/wiki/Geothermal_electricity

■■■■■パンフレット「九州電力の地熱発電所」九州電力 平成24年

■■■■■パンフレット「八丁原地熱発電所」九州電力 平成24年

 

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