世界最大級の地熱大国日本
4月3日、朝日新聞などメディア各社は、出光興産、三菱商事など9社が、福島県の磐梯朝日国立公園内に国内最大の地熱発電所をつくることを決定したと報じた。発電量は最大で原発1基の4分の1相当にあたる27万キロワット規模をめざす。経産省からの補助凡そ90億円も受け、2020年代初めの運転開始を目指すとの記事だ。
環境省と経済産業省は、国立・国定公園内の地熱発電の候補地として、福島、秋田の両県と北海道の計6地区を検討して来た。特に資源量が最大の福島県では、東日本大震災復興の特別措置法も生かして早期の建設をめざして来た。候補地は今回の福島(1か所)の他、北海道(2か所)、秋田県(3か所)の計6地区。合計で、原発のほぼ半基分にあたる約60万キロワット分の地熱発電が可能としてきた。
日本は以前から地熱大国とされてきた。日本経済新聞も、今年3月13日「日本には新型原発23機分にも相当する、世界第3位、2347万キロワットもの地熱発電の資源量がある」という内容の記事(電子版)を掲載している。ところが実際には、国内の地熱発電所は1999年の東京・八丈島を最後につくられ来なかった。政府が原発を推進する一方で、地熱発電については、研究費、開発費共に長い間凍結が続いて来たからだ。
今回の福島での地熱発電所建設の発表は福島原発事故後の政府の方針転換を受けてのものでもある。福島第一原発事故の影響で、風力や太陽光など再生可能エネルギーへの期待が一斉に高まっている。一方で、地熱発電の候補地は、多くが山間部など自然豊かな場所にあるため、開発には環境への配慮が不可欠だ。しかし、従来あまりにも顧みられて来なかった地熱発電に光が当たっていること自体は歓迎したい。(大野)